風の谷のナウシカの原作のラストは闇が深かった…
実は映画は原作1~2巻の内容だった…


風の谷のナウシカの原作のラスト

風の谷のナウシカといったら宮崎駿監督の代表作。
多くのファンがいる有名な大人気作ですよね。

ラストの感動的なシーンでは多くの人が心を奪われたことでしょう。

漫画は7巻で完結となっているのですが、
その当時は漫画が2巻までしかなかったので
映画化されたのは1~2巻の内容だったのです。

つまり、多くの人が知っている風の谷のナウシカの物語というのは
映画のラスト以降も続いているってことなのです。

そこで今回は風の谷のナウシカの原作について紹介します。

風の谷のナウシカの映画と原作の違い

ナウシカの性格がヒステリック!?

映画のナウシカというのは
慈悲深くて心がとてもきれいな少女なのですが、
漫画版のナウシカはちょっと性格が異なっています。

作中に蟲使いという人が出てくるのですが、
彼らは蟲を使って墓などを荒らして金品を漁るという生活を送り
差別されやすい人となっています。

映画のナウシカであれば差別はせずに
誰にでも平等に接するというイメージがありますが、
漫画版のナウシカは違います。

「汚れた蟲使いをともない 他国を汚染させるとは何事だ!
この剣より一歩も先に進ませぬぞ ただちに立ち去れ!」

そう言って、蟲使いを汚れていると差別して
怒鳴っているシーンが描かれているのです。

さらには、人質を取って自分の要求を通すというシーンもあり、
映画版のナウシカが好きだという人は
漫画版を見て衝撃を受けるかと思います。

正確の違いについてその理由は後悔されていないのですが、
漫画版というのは戦争に巻き込まれる
ナウシカの様子をメインにしていますので、
心がキレイな慈悲深い少女という設定では
不自然になってしまうのかなと思いました。

きっと映画版は小さな子供も見る可能性があるので、
ナウシカの性格をちょっと変えたのかなと思います。

トルメキア国は敵ではない!?

映画のナウシカとクシャナが対立するシーンは
誰もが知っていますよね。

しかし原作ではトルメキアは敵ではなくて、
どちらかといったら味方なのです。
そして、敵は土鬼(ドルク)と呼ばれる国になります。

原作では東野トルメキアと西の土鬼が
争っているという状況になっています。

漫画ではナウシカとクシャナが助け合うシーンがありますので
映画しか知らない人が見たら、
きっと不思議な気持ちになってしまうでしょう。

ナウシカは病で倒れてしまった風の谷の族長父親のジルの代わり、
トルメキア側として戦争に関わっていくという物語になっています。

それから、原作ではクシャナについてもかなり詳しく描かれています。
クシャナには兄が3人いて王である父親と
兄たちから死ぬように謀られていたのです。

参謀のクロトワはクシャナを殺すために
父や兄から送られた刺客だったのです。

クシャナは刺客としりながら、
クロトワを命がけで守るというシーンもあります。

原作ではクシャナは兵士への愛がとても強く、
兵士から愛されている指揮官だという描写もあります。

映画には出てこないキャラクター

漫画のナウシカでは世界中を移動して様々な人と交流をしていくことになります。

映画で出てきたナウシカの故郷「風の谷」というのは、
ほとんど漫画では出てきません。

旅をする中では様々なキャラクターと出会います。

そのキャラクターの1つが「森の人」です。

森の人というのは腐海に住んでいる人の総称であり、
火を使わずに蟲の腸を衣として蟲卵を食べて、
蟲の体液で作った泡を住処にしている人達です。

この腐海に普通の人間が入ると
瘴気が体内に入り込んで最悪の場合は死んでしまいます。

では、森の人はどうしてこんな生活ができるのか?

彼らは地上で暮らす人々のマスクよりも
高性能な瘴気浄化マスクを持っており、
蟲の体液でてきたテントも腐海の瘴気に耐えられるようにできているからです。

森の人の素性は謎に包まれていて原作では伝説扱いされていたので
博識なユパでもほんとに存在したのかというくらいでした。

そんな森の人の1人「セルム」は
ナウシカの考えに共感する部分があったので
ナウシカが瀕死状態になったときはナウシカを救ってくれたり、
森の人しか知らない腐海と世界の秘密について教えてくれました。

ここでナウシカが知った事実が、
この後の物語に大きく影響してくるのです。

風の谷のナウシカの舞台背景

風の谷のナウシカの舞台は多くの文明を崩壊させた火の7日間という
最終戦争から1000年後になります。
戦争により汚染された大地には腐海が広がっており、
その腐海を守る蟲という巨大生物が生息しています。

腐海に生息する菌類が放出している瘴気というものが、
人間にとって猛毒ガスとなり、
人類は腐海に怯えながら生活をするという中で、物語が始まります。

この時の世界情勢はトルメキアとドルクが対立をして戦争をしています。

ナウシカが住んでいる風の谷はトルメキア王国の同盟国となっており、
腐海のせいで病になってしまった損著のジルの娘であるナウシカが、
ジルの代わりとして風の谷を支えていました。

そんな時にクシャナが村へやってきたのです。

クシャナとの出会い

ペジテから避難民を乗せた輸送船が、
風の谷に近い腐海のほとりに墜落してしまいます。
その輸送船はペジテの王女ラステルが乗っていたのですが、
ナウシカが駆けつけた時にはすでに瀕死状態にありました。

ラステルはナウシカに石を託して、
兄に渡してほしいと頼んで亡くなります。

その石は最終戦争で使われた
生物兵器巨神兵を蘇らせるカギとなる秘石です。

トルメキアの第4皇女もクシャナがドルクとの戦争で勝つために
秘石を使って巨神兵を手に入れようとしてペジテに攻め入ったのですが、
クシャナに秘石が渡らないようにラステルは輸送船で逃げてきたのです。

クシャナは蟲使いたちにナウシカが埋葬したラステルの墓を荒らさせて、
秘石が風の谷にあると考えたので、風の谷に向かいました。

しかし、検疫を受けないでクシャナが
風の谷に飛行機を強行で着陸させてしまったので、
ナウシカが激怒して一騎打ちとなりますが、
ここでナウシカの師であるユパが制します。

そしてクシャナは帰っていくのですが、
後日トルメキアはドルクとの戦争のために
辺境諸国に出征を強制するのです。

それは風の谷も例外ではなく、
ナウシカは族長ジルの代わりに数名の老中者と共に
クシャナ支隊に合流するのです。

土鬼との戦争

ナウシカはクシャナ達と合流をして、
ドルクの地に向けて腐海を南進していきます。

その途中でクシャナの空中艦隊をラステルの兄アスベルが
単機で奇襲してくるのですが、
クシャナ軍に撃ち落されてしまいます。

その衝撃でナウシカの従者が乗る船も落とされてしまうのですが、
船は戦列を離れて腐海に不時着することができました。

輸送グライダーで回収をするためにナウシカが降下して、
腐海に墜落したアスベルの救出にも向かいました。

しかし、羽蟲と接触してマスクが外れ、
そのまま腐海の下層部に迷い込んでしまうのです。

ここで本来であれば、瘴気で肺が汚染されて死んでしまうのですが、
腐海の下層部は呼吸をしても問題がなかったのです。

ナウシカはこれにより腐海の下層部の大気が清浄だということを発見し、
人間が恐れている腐海は汚染された世界を浄化しているという真実に気が付くのです。

これはアニメ映画でもお馴染みとなっているシーンだと思います。

さて、一方で戦争で劣勢となっていたドルク軍は戦争に勝つために、
腐海の植物を品種改良して猛毒の気を吐き出す生物兵器を生み出します。
この生物兵器によって戦争で優位になるのですが、
兵器として使った菌類の苗が突然変異を起こして制御不能となります。

暴走した菌類から発生した粘菌が人を飲み込んで巨大化していきます。
このままにしておくとほとんどの土地が腐海になってしまうと思った時、
この粘菌の発生を予知していた蟲の大群がやってきます。

この蟲の中には幼少期にナウシカが守っていた王蟲も参加していたのです。
蟲たちは粘菌に自分たちを吸収させて粘菌を無毒化してくれました。

そして、蟲たちが死に腐海になることにより、
粘菌の暴走を鎮めることに成功したのです。

しかし、移動する時に蟲から放たれた腐海の胞子が
蟲の死骸を介して拡散していき、
ドルクの主要国度はほとんど腐海になってしまいます。

映画版でも子どもの頃にナウシカがかくまっていた王蟲がいましたよね。

漫画ではこの王蟲がナウシカのことを気にかけており、
ナウシカを助けるなど心を通わせるシーンがありました。

そして最後は粘菌の暴走を止めるために腐海になってしまいます。

ナウシカ語った真実

ナウシカは蟲たちが自分の命を犠牲にして
粘菌を無毒化してくれたことに感動をして
それと同時に人間の愚かさに悲しみを覚えました。

そしてペットのキツネリス「テト」と一緒に
蟲と共に腐海の一部になろうとして腐海の中に飛び込みます。

しかし、それを蟲が良しとせずに
蟲は自分の粘液を使ってナウシカとテトを守るのですが、
ナウシカは仮死状態に陥ってしまいます。

そこに森の人と呼ばれる種族セルムがやってきて、
ナウシカを救出します。

この後にナウシカは森の人とのかかわりの中で
全ての真実を知っていくことになるのです。

そして、この真実がとても衝撃的だったのです・・・

その1

1000年前に文明を崩壊させた火の7日間は意図的に行われたものであった。

旧人類が戦争をし過ぎたせいで土地が汚染され、
人類が住めなくなってしまったので
火の7日間で土地をリセットさせたのです。

その2

腐海は旧人類が戦争で汚染された土地を浄化するための装置で
蟲なども巨人兵も旧人類の作った人工物だったという事。
腐海は世界を飲み込んで完全に浄化させて、
火の7日間で絶滅した動植物や旧人類が生活するための土地となります。

その3

旧人類は腐海によって土地が完全に浄化されるまで
カプセルの中で眠りについており、浄化が終わったら復活する。

その4

ナウシカ達は旧人類が作った改造人間であり、
汚染の強い場所でも生きることができるという事です。

その5

ナウシカ達、新人類の役割は文明の発展を遂げながら、
土地の浄化が完了したら旧人類を目覚めさせるためだけの道具だった。

その6

旧人類が目覚めた後は新人類と戦争をしないように
新人類は浄化後の土地では生きていけないように仕組まれている。

真実を知ったナウシカの行動

真実を知ったナウシカは、ドルクがトルメキアから奪って復活させた巨神兵をアスベルに託された秘石で覚醒させます。

巨神兵は人格があり、秘石を持ったナウシカのことを「お母さん」と言って慕います。そんな巨神兵に対してナウシカは「エフタル語」で「無垢」を意味する「オーマ」という名前を付け、旧人類が眠っている墓所に向かいます。

墓所内部には旧文明の技術が保存されており、ドルクが戦争に使った粘菌を改造する技術や節の術、王蟲の培養方法などがありました。墓所はそれ自体が意識を持っている人工生命体であり、その人格である「墓の主」は、浄化が終わった後の戦争のない理想郷について語りました。

ナウシカ達新人類も再調整プロセスにより、浄化完了後も生き続けることができると墓の主は伝えます。しかしナウシカは清浄だけを追求して、一切の汚濁を認めない旧文明の計画を全否定し、墓の主をオーマに握りつぶさせて殺してしまいました。

ナウシカは旧人類を滅ぼし、彼らが作った計画よりも自然と共に生きる選択をしました。ここで物語は終わりとなります。

その後の登場人物

ハッキリ語られていませんが、
クシャナはトルメキア中興の祖と称えられていると書かれています。

ナウシカについては何も書かれていません。
急にやってきたラストには色々な意見がありますが、
墓所の破壊と共に絶滅ではなく、クシャナが伝説と称えられるほどに
長い時間を人類が存続したという事なのかなと思います。

風の谷のナウシカのラスト

最後について様々な考察がありますし、
疑問を抱いている人も多いようですね。

その疑問の多くはなぜナウシカは墓所を破壊したのかという事です。

これは突然変異した粘菌のエピソードで語られていますが、
ナウシカの考えの根底には

「自然由来のものか人工のものかに関わらず、生命は全て尊い」

というものがあります。

ですからナウシカは人口であっても、
自我があり命がある王蟲やオーマは尊いのだと感じ愛していました。
しかし、それならば墓所の生命体である墓の主も生命であり、
尊ばれるものですよね。

それなのに、どうして墓の主は破壊されたのか?
それについてナウシカはこのように語っています。

生きることは変わることだ
蟲も粘菌も草木も人間も変わっていくだろう
腐海も共に生きるだろう

だがお前は変われない
組み込まれた予定があるだけだ
死を否定しているから…

浄化の神としてつくられたために、
生きるとは何か知ることもなく最もみにくい者になってしまった

墓所は予定通りのことをしているだけという事で
ナウシカの中にある生命の定義から外れているようですね。

一方で王蟲や腐海は当初の設計になかった慈愛の心を自ら会得しており、
巨神兵もナウシカと出会って行動を共にする中で成長をしています。
これが、ナウシカのいう「偉大なる生命」なのです。

その声明を計画のためだけにつかい、
王蟲を培養して節の術を使った墓の主の行動は
それ自体が生命への最大の侮蔑だという事ですね。

これが簡単ではありますが、
漫画版の風の谷のナウシカのあらすじとなります。

映画と比較すると、かなり暗い内容となっていますので
ショックを受ける人も多いでしょう。

映画のナウシカのイメージがあると、
「共存」という道を選ぶかなと思うのですが、
墓の主を殺すとは驚きでした。

漫画版ではまだまだ紹介しきれない見どころが沢山ありますので、
良かったら読んでみてください。

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