優先席で視覚障がい者が携帯電話を使う理由
女子中学生の訴えに考えさせられる…



電車に乗った際に優先席で電話をしている光景を
目にしたことはありますか?

中には

「優先席で携帯なんて…」
「携帯を持っているということは、見えてるのでは?」

と否定的な意見を持つ方もいらっしゃるでしょう。

しかし、視覚障がい者が優先席で携帯を使用するのは、
決してマナー違反ではありません

一般的に知られていないため
視覚障がい者は偏見を持たれがちですが、
ちゃんとした理由があるのです。

視覚がい害の父をもつ女子中学生の訴え

法務省が毎年行なっている
「全国中学生人権作文コンテスト」という
作文コンテストがあります。

このコンテストでは全国の中学生を対象にした
人権を主題とした作文のコンテストです。

そんなコンテストで辻本ももか(当時中学3年生)さんが書いた
「少しづつ…一歩づつ…」というタイトルの作文が話題になりました。

「少しづつ…一歩づつ…」

辻本さんの父親は視覚障がい者であり、
世間の理解のなさから非常に苦しい思いをしているそうです。

そして、辻本さんは以下のような話を父親から聞かされたといいます。

電車に乗った時に,時間が知りたくて携帯電話を開いたときのことだ。

「こんなとこで電話したらアカンやろ!」 と中年のおばさんに怒鳴られたそうだ。

優先座席の近くだったということもあるが,
『目の不自由な人=白杖を持っている』という認識は広まってきているが
時間を知りたいときには音声が出る時計や携帯電話を使うということは
ほとんど知られていないのだ。

そのとき,父は説明しようと思ったが,
どうせ分かってもらえないと思い「すみません。」と謝り,
とても悲しい気持ちになったそうだ。

引用:全国中学生人権作文コンテスト

視覚障がい者の方が時間を知るために
音声の出る時計や携帯電話を使用するということは
世間にはあまり知られていません。

そのために、誤解をうけたり、
どうしても偏見の目で見られがちです。

そのことをもっと世間に広めていくべきではないのか?と、
辻本さんは作文コンテストを通じて訴えかけました。

辻本さんは作文を以下のように締めくくり、
この事が世間に広まるように訴えています。

私たち、健常者にははかりしれない恐怖と不安、努力があるのだ。

誰でも目をつぶれば見えない世界を体験した気になる。
松葉杖をつけば、その体験をした気になる。

車イスに乗れば、その体験をした気になる。
だが、本当の障がい者の苦悩と努力の一部しか体験していないことを知っておいてほしい。

私たちには当たり前にできるようなことがあっても。
どんなに望んでもできない人たちがいるということと
みんなの正しい理解と知識が障がい者の明るい未来へと
つながっていくということを知ってほしい。

そしてこのことを広めていかなければならない。

引用:全国中学生人権作文コンテスト

音声の出る機器

視覚障害者の方が時刻を知りたい時は
音声を読み上げてくれる機器を使用します。

日本の時計メーカーSEIKOからも
以下のようなスピーカー付きの商品が発売さていて、
ボタンを押すと音声で時刻を読み上げるという仕組みです。

さらに、携帯電話に関してですが、
視覚障害者のほとんどの方がスマートフォンではなく
ガラケーを使用しています。

なぜなら指の感覚のみでボタンを押すことができるからです。

携帯電話で時刻を知りたい場合には
117にダイヤルし、時報を聞いて時刻を確認します。

現在では技術の発達により、携帯電話が音声で読み上げてくれるなど
徐々に視覚障害者の方も生活しやすくなってきています。

全国に広めたい

今は,携帯電話が音声で読み上げてくれて,
メールや時間,GPSなどの便利な機能を視覚障がい者の方も利用できるようになった。

だが,そのことを知っている健常者の方は全国にどれくらいいるだろうか。

また,このことを知っている当事者である視覚障がい者の方が,
全国にどのくらいいるだろうか。

私は,まだ知らない人が多いと思う。

そしてこのことを広めていかなければならない。

引用:全国中学生人権作文コンテスト

現在、障害者の生活を助ける様々な機器があります。

辻本さんのおっしゃる通り、
まだまだ世間に知れ渡っていないのが現状です。

現に視覚に障がいを持つ辻本さんの父親も携帯電話を使用しただけで怒鳴られています。
知っているという事と知らないという事では意識や見方が大きく変わります。

一人でも多くの方に知っておいてほしい事ですね。

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