海底に1000年間眠っている古代都市…
捜索すると海底からは様々な財宝が…
海底に1000年間眠っている古代都市
港湾都市ヘラクレイオンは1,000年間海の底にありました。
今、そこにある数多くの神殿には魚が暮らし、
ヒエログリフには藻が茂っています。
これを2000年に発見したのはフランス人考古学者のフランク・ゴジョ、
1933年にイギリス人パイロットによって発見された
カノープスとともに海底遺跡の調査に明け暮れた人物です。
ヘラクレイオンはなぜ水没したのか?
紀元前700年頃に作られたと考えられている
ヘラクレイオンとカノープスは古代エジプトにおいてギリシャや
地中海地域との貿易拠点として機能しました。
しかし、両都市はやがて滅びる運命にありました。
海面の上昇、地盤沈下、地震とそれによる津波といった複数の要因が重なり、
最大10m近い深さまで水没してしまったのです。
古代の神々
水没した都市からは宗教的な偶像も発掘されています。
その多くはプトレマイオス期の人間の姿をした神々の像で
エジプト人が動物に与えたものと同じような特徴を有しています。
ギリシャでは動物の姿を象った神々や動物への崇拝が行われていませんでした。
しかしアレクサンドロス大王の死後にその部下プトレマイオスが創始し、
エジプトを支配したプトレマイオス朝では
古代エジプトの牛の姿をした神アピスに人間の姿をした
オシリスを統合した像が作られました。
それがギリシャの主要な神々の特徴と働きを組み合わせたセラピスです。
セラピス像の巨大な頭部はギリシャ文明と
エジプト文明の境界を曖昧にする他の発掘品と一緒に展示されています。
こうした様式の変更は虚栄心によるものなどではなく、
政治的な意図がありました。
プトレマイオス朝ではエジプトの統治に地元の神官と
民衆の支持を得ることが不可欠であることを理解していたです。
エジプトの信仰や儀式、図像などが取り入れられたのはそのためです。
今回、最大の展示品は皮肉にも洪水の神ハピ。
全長4.8m、重量5.4tにもなる花崗岩の石像で
ヘラクレイオンが水没するずっと以前の紀元前6世紀頃に作られました。
またゴジョの調査チームが海底に残してきたものも注目に値します。
そこでは69隻の船が発見されており、
これまで発見されたものでは最大のものだという。
ヘラクレイオンとカノープスを結ぶ運河で使用されていた可能性が高い。
この運河には冥界の神オシリスの祝祭において
エジプトイチジクで作られた聖なる船が行き交っていたという。
これほどの発見がされながらもこれまで発掘されたものは
全体の5%ほどでしかありません。
今後もさらなる発見が期待されるところです。